’68年全国産カメラ白書
大学生の頃、表紙も裏表紙も欠損した、古新聞と呼ぶのもおこがましいような状態の本誌を読んで感動した「’68年全国産カメラ白書(毎日新聞社)」をついに入手しました。私は古書が好きで、古本屋めぐりは至高のひとときです。
50年前の本がよくもここまで綺麗に残っていたもんです。日焼けすらしていないので冷暗所で大切に保存されていたんでしょう。スタッフの名前に、後に学研CAPA誌の副編集長になる豊田芳州氏と馬場信幸氏の名前が!!カメラ毎日は1985年に廃刊になりましたが、当時のスタッフは学研に移籍して創世記のCAPA誌を支えてきたんですね。
ニコンS3は生産停止後、レンジファインダーのリバイバルを求める声が多くて再販されたという話は知っていましたが、改めて当時の雑誌で紹介されているのを見るとそれが事実だったと再認識させられます。当時の事を知らない現代人が過去の歴史を語るのは容易いことですが、当時のリアルタイムのカメラ論評を読むことで、発売当時のカメラの評価がどうだったかがわかるのが古書の醍醐味です。
オリンパスペンシリーズも当時の全機種が網羅されています。幻の名機と言われるペンWやペンEMの記事があるのは感動モノです!
学生時代に読んで一番感動したのがこの記事「未発売新型カメラ」。なぜか記事内で紹介されていませんが、このページのカメラは2年後に発売されるコニカFTAの試作機です。
50年前の本なのにすでに「使い捨てカメラ」や「オートフォーカス」についての記載があります!!「フィルムと提携したカメラの進歩」~カメラがこれ以上進歩するためには、カメラだけではなくフィルム側の前進が絶対に必要だ。現代のカメラでもラチチュードの広い高感度フィルムと広角レンズを組み合わせれば固定焦点で絞り、シャッターが1種類でも屋外なら確実に写る」「アメリカではフィルムごと発売される使い捨てカメラも具現化されようとしている」と未来の「写ルンです」を見事に予言していました。
ページ右上のペンタックスメタリカを例に上げ電子シャッターと絞り優先AEの組み合わせを高く評価し「まだ観測気球を上げた段階だが将来の一眼レフがみなこの方向に進むのは、まず間違いない」「カメラの機械的進歩はもう限界に達し、これからはますます電化されていくだろう」とあり、更に終局的な目標としてオートフォーカスを上げています(ページ左側)。
さすがに電子写真(デジカメ)の記載はまったくありませんでしたが(1968年当時のアサヒカメラでフィルムを使わないスチルビデオカメラの予言がありました)、50年前のカメラ技術者が夢見た「未来のカメラ」が50年後の現在に見事に現実として結実している事に感動と感謝の念を抱く次第です。
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