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2018年4月12日 (木)

実は凄かった日本の宇宙開発

世界宇宙飛行の日なので何が何でも今夜じゅうに書き留めなければいけない事。急いで書きます。

 

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私の宇宙SF元年。1978年でも紹介した1978年の毎日グラフ別冊「宇宙と語ろう」。

 

1978年の宇宙本、第2報で私が小学1年生の頃に感じた屈辱「自分の国の衛星すら自国で打ち上げられないなんて」ですが、今改めてこのグラフ誌を読み返してみたら、まったく同じこと書いていました(w)。

 

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(1978年当時の)「日本のロケットはパワー不足」とはっきり断じてます。

 

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当時の日本のロケット、ミュー3S(固体燃料)とN1(液体燃料)では重量300kgの衛星を静止軌道に乗せるだけの推力が無いのでアメリカに打ち上げてもらった。その打ち上げ費用は1回当たり50億円。

 

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1978年当時開発中の次世代ロケットN2ならば300kgの静止気象衛星を打ち上げられる。1981年打ち上げ予定の次期気象衛星2号(ひまわり2号)は国産ロケットで打ち上げる予定。とはっきり書いています。更に昭和60年(1985年)以降の主力ロケットH1についての説明もあります。言うまでも無くN2ロケットは静止軌道への目標打ち上げ能力350kgの目標を達成し、期日通り1981年にひまわり2号の打ち上げ成功しています(すぐ故障しちゃったけど)。H1ロケットは目標の2年遅れで1986年に打ち上げ成功しました。

 

また、この当時は固体燃料ロケットは東大宇宙研(ISAS)、液体燃料ロケットは宇宙開発事業団(NASDA)主体で設計されていましたが、液体燃料ロケットの技術を提供した当のアメリカは姿勢制御のためのジャイロコンパスやエンジンのコア技術であるターボポンプについては一切見せてくれなかった(詳細:https://www.youtube.com/watch?v=5Nv3sx1BdtA)。ブラックボックスだらけの米国デルタロケットの技術提供ではNASDAだけでは純国産化は難しいとの判断からISASとNAL(航空宇宙研究所)もNASDAのH1ロケット開発に参画するという内容が書かれています。ISASは元々アメリカからの技術導入には反対の立場でしたからね。後にISASとNASDAとNALが合併して現在のJAXAが生まれる伏線がすでに40年前に見られています。これ見ても、決して東大宇宙研(ISAS)とNASDAは敵対関係ではなく、同じ目標のために協力し合う関係だったことがわかります(ここでも同じ事書いています↓)。」

 

http://www.sf-fantasy.com/magazine/serials/develop/05.html

 

40年も前に、具体的で、実現可能な未来の展望を描いていた東大宇宙研&NASDAには驚くべきです。米NASAのような「月に住む!」「火星に行く!」「スペースコロニーだ!」と大風呂敷広げては放棄を繰り返しているのに比べ、日本は「人間を宇宙に送る」なんて途方も無い夢は言わない一方、絶対実現できるという自信がある計画は見事に実現してきました。実際、日本でもスペースシャトル作ろうという話が1982年頃にあって(当時の「学研の科学」でも特集組まれていたので私も読んでいます)、マスコミが大騒ぎした時、NASDAでは「できもしないことを書くな!」と問題になったようです(詳細↓)。

 

http://www.sf-fantasy.com/magazine/serials/develop/10.html

 

まあ、現実的過ぎて夢が無いという向きもありますが、叶いもしない白昼夢よりは実現可能で、予算的にも元が取れる現実の夢を選ぶあたりはやっぱり現実主義者の日本人らしい(w)。的川先生も同じこと書いています(参照↓)http://www.isas.jaxa.jp/j/japan_s_history/chapter10/05/02.shtml

 

まあ私も「夢見る少年」から「男のロマン」よりも「日々の飯を食うための現実」を求める「つまらない中年のおっさん」に成長した訳です(w)。

 

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ひまわり1号(1977年)打ち上げの映像(右)と国産初の静止衛星(技術試験衛星)きく2号(左)。

 

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21世紀の現在、アメリカ、ロシアにはかなわないまでも、日本1国でESA(ヨーロッパ宇宙機関)とガチで勝負できるほどのロケット、H2Aとイプシロンを開発するまでに成長したJAXA。
それまでには過去60年間の先人の血と汗と涙があった訳です。ロケット大国日本の現在は運が良かった訳では無く、努力の結果の上の必然だったんですね。

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