やばいよ~絶対この人ウチのサイト読んでるよ~
私も愛読している「ニッコール千夜一夜物語」第六十一夜 Ai zoom-NIKKOR 50~135mm F3.5Sを読んで冷や汗かきました(詳細↓)。
http://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0061/index.html
間違いないよ。絶対この人ウチのサイト読んで挑戦状叩きつけているっ!
(参照:ウチのサイトとは?↓)
http://masupi.com/contents4.htm
前も「2群ズーム」の項目で1961年試作のニッコール35-85ミリF2.8-4について「有名な失敗例」と書いたら(参照↓)
モロに「決してこのレンズは失敗作ではなかったと思います。」と反論来ましたからね(超汗)。
参照↓
http://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0056/index.html
>とある設計者に「この樋口氏のワイドズームに追いつくのに十年の時を要した」と言わせました。
↑「とある設計者」ってキヤノンの田嶋晃氏ですよね?(バラすなよ!)
話題をニッコール50-135ミリに戻すと、明らかに私が「4群ズーム」で記載した「山路式ズーム」の弱点を指摘したうえで、山路式(前から順番にフォーカス系、変倍系、補正系、マスター系に分かれた4群ズーム。参照↓)
のままでどこまで広角域を広げられるのか限界に挑んだとあります(引用:その中で山路タイプは、この原理的に大型化しやすく、広角化に不向きな、このアフォーカルズームタイプに挑戦するものでした)。私のサイトで紹介したミノルタMD50-135ミリF3.5(1978年)
と同じ志で設計されたレンズなんですね。何というか、蒸気機関車で電車の速度記録に挑むような、電気機関車でリニアモーターカーの速度記録に挑むような(実際にやりましたよね、仏のTGV!)、ゼンマイ式腕時計でクォーツに挑むような、レシプロエンジンでジェットエンジンに挑むような、
↑「衝撃降下90度」(松本零士著/小学館)ちなみに急降下での音速突破は速度記録として認められていません。
ちなみに現実世界でのレシプロエンジン機の世界速度記録ホルダー。グラマンF8Fベアキャット「レアベア」1989年に850.26 km/hを記録しています。1960年代以降記録更新したのはP51とF8Fだけで、「やっぱりこれが限界」という事なのでしょう。松本零士さんのように二重反転プロペラにしてプロペラの回転速度を落としたらもっといけるかもしれないけど(P51ヤスピットファイアでは試されている)、反面重量増加が・・・まぁ私ごとき素人が考えることくらいとっくに「レアベア」のスタッフたちも気づいているからこそあえて単軸プロペラにしているんでしょうし。
こういう挑戦は私は好きです(汗)。『既存の技術でこれ以上はどうがんばっても無理だ!』という事を理論じゃなく、現物で証明すればユーザーも技術者も諦めというか納得がつきますから。技術史的にも決して無駄な挑戦じゃない。
つか、ミノルタさんが1978年に挑戦して「やっぱりダメだったかぁ」と結論付けて1982年に、贅肉的だったフォーカス系とマスター系も動かして全長を縮める事で広角側35ミリを達成したミノルタMD35-135ミリF3.5-4.5を発売しているのに(参照↓)
その1982年に改めてミノルタに挑戦状を叩きつけたニコンさんが熱いです!。なぜそこまでして「山路式」にこだわったんでしょうか?ニコン!!
今みたいにパソコンでいとも簡単に、造る前のレンズの描写をスポットダイヤグラムでシミュレーションできちゃう時代だったら、絶対試作する前にボツになっていたと思います。結局先行していたミノルタと同じ焦点距離、同じ明るさになってしまい、先人たちの経験通り「やっぱり4群ズームで広角は無理だ」という結論を再確認するだけの結果に終わっちゃいました。
「せっかく何年もかけて光路追跡計算してきたんだから、ダメモトでとにかく作ってみようじゃないか!(またニコンさんを激怒させるような発言を・・・・)」という設計側の情熱が良い意味でも悪い意味でも伝わってくる、古き良き時代のズームレンズだったのではないでしょうか?と言うか、なぜ営業は発売を許したんだろう?
PS)すみません。私も「ニッコール千夜一夜物語」で紹介された名玉、いくつか所有しております。個人的にはマイクロニッコール55ミリF2.8はお気に入りです。
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ふむ、機会があったらご本人に聞いてみましょう( ̄ー ̄)ニヤリ
投稿: QUARTET | 2018年6月10日 (日) 22時55分
うぉっ!?ご知人でしたか?
ええ、できればウチのサイトで「ここが間違っている!」「ここはこう直した方が良い」みたいなご助言いただければ嬉しいです。
まあ、メーカーに勤めていると面と向かって「ああ、あのサイト読んでますよ。」とは言いづらいですよね。
ちなみに、消滅した前のBBSでも力説したことですが、「自動車工学では子供向けの図鑑でもDOHCとSOHCとOHVの違い」とか「ターボチャージャーの原理」とか「サスペンションの構造」とか子供が知っていても何も役に立たない知識をわかりやすく説明してくれているのに、なぜか、写真雑誌ではレンズ構成図の分類とかズームレンズの原理の説明を異常なほど嫌がる。私、高校生の頃から知りたかった「なぜズームレンズは伸ばしたら広角、縮めたら望遠(2群ズーム)になるレンズと逆に伸ばしたら望遠、縮めたら広角(3群ズーム)になるレンズと、ズーミングしても長さが変わらないレンズ(4群ズーム)があるのか知りたかったけど、15年間つぶさにカメラ雑誌複数買いしても誰一人として納得のいく説明してくれる執筆者がいませんでした。
「望遠レンズ」の「反射望遠レンズ」の説明でもちらっと書きましたが、「自動車や鉄道やコンピュータや建築・土木や医療や造船や航空機に比べて、写真レンズの設計者は自分の知識を教えたがらない」という雰囲気を素人なりに感じました。
最近、それを肯定するサイトを見つけました。
「日本の光学産業が沈黙した羊の群れのように見える」
https://www.adcom-media.co.jp/remark/2014/05/25/18349/
>日本ではレンズ設計の発表件数が光学産業の規模に比べて少ない
>欧米では各企業の規模が小さいので研究者の間の情報交換の場として学会は重要な役割を果たしていますが,日本では大手企業の内部で情報交換が閉じているというのが私の印象です。例えば私は山路敬三さんの固有収差係数を利用したズームレンズの設計論文が大変に参考になりましたが,山路さんが特許戦略を徹底しキヤノンが急成長してからは参考になるような論文がほとんど出なくなりました。
↑
うわっ!私が「空気が読めない君(某大写真家センセイ様談)」なりに感じていた事はっきり言ってますよ。55年も昔にキヤノンの山路敬三博士が発表した「固有係数と特性行列」以降、ズームレンズを効率よく設計する論文らしい論文が出てこない理由も.....
レンズ設計の世界とは外部にそのノウハウを漏らしてはいけない「一子相伝」の世界なんでしょうか?
投稿: 管理人 | 2018年6月11日 (月) 21時25分