宇宙への挑戦
台風と震災というダブルパンチに見舞われた中で、久しぶりに明るいニュース。最近宇宙開発方面の朗報が続いています。
朝日新聞2018年9月23日朝刊より。
JAXA/ISASの小惑星探査機はやぶさ2が無事に着陸機ミネルバ2-1の着地に成功!
続いて本日は台風で延期していた種子島のH2Bロケットの打ち上げ成功!
ここんとこロケットの打ち上げラッシュですね。軍事と経済にしか興味が無いと思っていた米国トランプ大統領も「また月へ行くぞ!」と言っているし。こういう所に国民の税金を使ってくださるのは大いに大歓迎です。宇宙を制する国は世界を制する。
私が今から楽しみにしているのが来月ギニア・クールー宇宙基地から打ち上げ予定の水星探査機ベピコロンボ。これは1986年のハレー艦隊(https://www.youtube.com/watch?v=3YYLZNqOEPI参照)以来久々の日本のISAS(宇宙研)とESA(欧州宇宙機構)の協業ミッションです(ESAとNASAの協業ミッションとしては土星のカッシーニ・ホイヘンスミッションがある)。何でもESAの方からJAXAを誘ったそうですね。ロケットの打ち上げ能力に余裕があるので2機の衛星を相乗りさせましょうと(追記:すみません。すでに今回のはやぶさ2ミッションでもESAの着陸機を相乗りしていました)。
ESAが担当するMPO(マーキュリープラネタリーオービター)が水星の至近距離にまで近づいて地表を撮影し、ISASが担当するMMO(みお)は遠軌道を回り、水星の磁場を測定する。惑星磁力線の探査は1957年の国際地球観測年からの日本のお家芸ですからね。
もう一つは内の浦から打ち上げられるイプシロンロケット4号機。全段固体燃料ロケットですから糸川先生のペンシルロケット(1978年の宇宙本、第2報参照)の直系の子孫です。全段固体燃料ロケットはISASのお家芸。なにやら正体不明ですが「革新的実証衛星」というのを打ち上げるらしい。「はやぶさ」にしろ「みお」にしろこのイプシロンにしろ、糸川先生が切り開いた日本の宇宙探査の伝統は21世紀にまで脈々と受け継がれていると考えると、日本人として誇らしいです。
ちなみにこれは実家に残った父の遺品の百科事典。ネット時代の今日では粗大ゴミですが、まだネットのネの字も無かった時代は、学校や図書館が開いていない深夜でも調べ物ができるのはとても心強かったしとても役に立ったので十分モトは取ったと思っています。これの「宇宙開発」のページ。左から順に、月面初着陸したソ連のルナ6号、世界初の人工衛星スプートニク1号。ガガーリンが初飛行したボストーク1号。アポロ・ソユーズ共同計画。アメリカ人初の宇宙遊泳をしたエド・ホワイト飛行士(アポロ1号の事故で亡くなっています)。と、まあ小学生の頃「宇宙博」のパンフで見て大体知っているような写真が載っています。右側はESAとISASの人工衛星の画像。奥付が1976年10月10日なので日本の宇宙開発は、1955年の東大生産技術研究所の糸川先生のペンシルロケットから始まり1976年のNASDAの「うめ1号」打ち上げで終わっています。今となっては42年前なので情報としては古いですが、前年に発足したばかりのESA誕生の経緯は当時の最新情報なのでウィキペディアで調べるより当時の事情がナマナマしく伝わっています。英国がソ連、米国、仏国、日本、中国に続き世界6番目の衛星打ち上げ国になったのに1回だけで衛星打ち上げを辞めてしまった事情とか。
で、この項目読んで今更気づいたのが、この文章の執筆者も的川泰宣先生だった事!1976年当時の的川先生は34歳。42年前からすでに日本の宇宙開発史の語り部をされていたんですね!!
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