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2018年11月 5日 (月)

ハイブリッドロケットCAMUI

昨日に続いて余市宇宙記念館の続報です。

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北大が中心になって北海道の大樹町で打ち上げ試験をしているハイブリッドロケットのCAMUIロケット。これが一番見たかった!!。

実は「ペンシルロケット」の糸川先生(↓当然展示物にありました)

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も、秋田県の道川海岸が西向きで人工衛星の発射場所には向いていない(人工衛星は地球の自転方向の東向きに打ち上げるのが鉄則)ので、太平洋側の発射地点を探していました。最終的に鹿児島県肝付町の内之浦が選ばれましたが、実は現地調査の段階では北海道の襟裳岬も候補地だったんです(参照:http://www.isas.jaxa.jp/j/japan_s_history/chapter02/01/02.shtml 見ての通り種子島も候補にあったけど、そこは後日ちゃんとNASDAさんが種子島宇宙センターを建設している)。襟裳岬と大樹町はすぐそばです。

しかも60年前の東大宇宙研と同じく、大学主導で研究が行われていること。サイズも糸川博士がペンシルの次に打ち上げたベビーロケットとほぼ同じ大きさ。それでいてベビーロケットより高い高度(7.000km)に達したことから私、かなり注目しています。

ハイブリッドロケットと言えばSF作家の野尻抱介氏の代表作「ロケットガール」のメインガジェットです。わかりやすく言えば、酸化剤は液体酸素で、燃料はゴムやプラスチックなどの樹脂。常温では不活性物質(火をつけてもブスブス焦げて煙を上げるだけで爆発したりはしない)ですが、100%酸素に当てると、ただのゴムやプラスチックも激しく燃焼するんです。火薬系の燃料を使わずに済むので運搬中は安全。しかも燃焼を調節(途中で燃焼を中断することも)できる。

ただ問題は、液体の酸化剤と固体の燃料では効率よく燃焼させるのが困難なせいで、原理的には100年近く前から知られていたのに、なかなか実用化できないでいます。理由は、下の模式図見たら素人目にもわかりますよね。

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野尻抱介先生の「ロケットガール」でもミッションスペシャリスト三浦茜ちゃんの「(酸化剤タンクって)あのガスタンクみたいの?」「(固体燃料って)あのロウソクみたいの?」というセリフで代弁させていましたが、まあ液体酸素のガスタンクの下に、チクワ状に中心に穴を開けた樹脂製のモーターケース(燃焼室)がついているんです。でも素人目にも「液体酸素をスプレーしても全ての酸素が燃料と燃焼せずに、チクワの穴から漏れ出すんじゃない?」と思いませんか?私もそう直感しました。大型化すればするほど航空機の宿命「二乗三乗則」の通り、燃料の体積に対する表面積が相対的に減少するので燃焼速度が遅くなる=重くなればなるほどパワーが無くなるんです。

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「ロケットガール」の三原素子さん。燃焼が生き甲斐という変人。

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燃焼実験のためにプラチナ製の結婚指輪を惜しげもなく燃料に投棄する...って、旦那さんの事何だと思ってるんだろう?
野尻抱介先生は、固体燃料に触媒として白金(プラチナ)を用いていましたが、それではせっかく、液体燃料ロケットや純粋個体燃料ロケットより低価格で打ち上げられるメリットが減じてしまいますよね?

北大の永田晴紀教授は、その「液体酸素の燃え残り」を無くするためにものすごい珍アイデアを思いついたんですね。つまり、従来の固体燃料を「チクワ」ではなく「輪切りのレンコン」にしたこと!!

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つまり、1本の固体燃料の中心に燃焼室のトンネルを通す「チクワ方式」ではなく、輪切りにした固体燃料に場所をずらしてレンコンのように複数の穴を開け、上の穴から噴出す炎が下の段の燃料に当たることで下の段の燃料の燃焼を促進し、更に下の燃料も同じく炎であぶって燃焼させ、燃え残りの液体酸素がノズルから噴射させる頃にはきれいに燃え尽きるようにしたんですね。先の「二乗三乗則」で減少する燃料の表面積を多分割して穴を複数空ける事で補っています。この「カスケード燃焼(略してCAMUI)」のおかげで、何と!糸川先生が育てた純粋固体燃料ロケットを上回る比推力が得られると!。これ、ハイブリッドロケットの歴史上「革命」と言える大発明だと思います。

今やH2ロケットが惑星探査機や静止衛星を打ち上げてるんで、CAMUIロケットの「打ち上げ高度7.000km」はマスコミでもほとんど、その重要性に気づかないで終わってしまいましたが、実は60年前の糸川先生以来の「宇宙開発のブレイクスルー」になる素質を持っているんです。残念ながら予算がつかず、その後打ち上げが滞っているようですが、ぜひともこの研究、JAXAが資金援助して欲しいです!!これが実現したら打ち上げ費用を1ケタ削減できるかもしれないんですよ♪

長くなったので、次の話はまた次回。

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