京アニ放火の衝撃
今や年齢的に「熱狂的アニメファン」とは自称できなくなったけど、生まれたときからアニメにどっぷり漬かって生きてきた私には衝撃的なニュース。京都アニメーションスタジオ放火で34名が亡くなりました。
海外でも嘆きとお悔やみのコメントが数々寄せられております。
「今こそ日本のアニメに恩返しするときだ」(インドネシア)
「京アニのアニメに暴力的なシーンなんて無いのになぜこんなひどいことをしたんだ」(イギリス)
「アメリカで言えばハリウッドが爆撃されたようなものだ」(アメリカ)
ロシアではアニメファンの若者たちが日本アニメキャラのコスプレをして黙祷しているニュースを見て「日本のアニメを世界中の人がこんなに愛してくれてありがとう。」と感謝しつつ、犯人の凶行に怒りと悲しみを禁じえません。ショックでどうコメントすれば良いかわからず、書き込みが遅れました。
犯人は精神科の通院歴があったらしいが、犯行動機の根本にあるのは池田小学校事件や秋葉原事件や今年の幼稚園バス襲撃事件と共通する「嫉妬と八つ当たり」ではないか?
古くは1930年代にデュッセルドルフ市民を恐怖のどん底に陥れたシリアルキラー「ペーター・キュルテン」も裁判の場で「俺は不幸だ!幸福だ幸福だと言っている人間が憎い!だから不幸な人間の代表として幸福な人間に報復をしていたんだ!」とほざいていたそうです。手塚治虫氏がこの事件をコミックス化しています(表題作品は別で昭和新山のお話なので道民はぜひ読むことをお勧めします)。
殺された犠牲者が犯人に対して金を恐喝した訳でも給料の上前ピンハネしたわけでもないのに言いがかりもはなはだしいが、連中も自分が言っていることが筋の通らない言いがかりなんてことは百も承知の上でやっているんでしょう。私が生まれた年に起こった大久保清事件でも犯人は大体同じようなこと裁判で言っていたように記憶している。って言うかこの作品自体、大久保清事件に触発されて描いたんでしょう。1973年という連載時期からして(犯人の死刑判決が出た年です)。
本当に自分の不幸の原因を作り出した相手(結婚詐欺にあったとか、全財産を盗まれたとか、子供を殺されたとか)を憎むのならまだ納得はできる(刑法では仇討ちは違法だが)が、自分にはまったく危害を与えていない、まったく無関係の人間(それも自分より弱い人間)に八つ当たりするのがこういうシリアルキラーたちに共通する傾向だ。
昔ベストセラーになった「FBI心理分析官」の著者ロバートKレスリー氏はこの種の犯罪者を「自己破滅型」と言っています。
自分の人生に絶望して、自分が不幸なのは自分より幸福な人間が自分を搾取しているからだ、社会が悪い。社会に報復してやる。死ぬ前に一人でも多くあの世の道連れを作ったあとは華々しく死んで犯罪史に名を残すんだ。と思っている。死ぬことをもはや怖がっていない人間はためらいもない。池田小学校の犯人も法廷で「早く死刑にしてくれ」とほざいていました(すぐにその望みは叶いましたが)。あの事件の時も「今後、競争社会、格差社会が進むにつれ、競争についていけず脱落した者が模倣犯になって同様の無差別テロを繰り返すんだろうな....」と思いましたが、現実その通りになりました。
勝ち組と呼ばれる中流以上の生活をしている人から「私達は努力したの!子供のころから遊びたいのに我慢して塾通いして青春の全てを勉強につぎ込んだ結果、今の高給を手にしたの!あんたたちは学生時代努力しなかったから今貧乏なの。自業自得でしょ?これが競争社会なのよ!」「死にたければ一人で死んでくれ。他人を巻き添えにするな!」という正論を突きつければ突きつけるほど、「努力したけどダメだった」敗北者は誰にも助けを求められず追い詰められていくことになる。
自分にはこのような凶行を今後予防する方法なんて思いつかないですが、福祉業界に片足を載せている立場としては社会的弱者を追い詰めないような社会インフラ(アメリカの救世軍のようなホームレスの炊き出し施設を造るとか、障害者が働きながら生活できる授産施設や作業所をもっと宣伝するなど)の充実が一番の対策方法なのでしょうか。私の同級生にも障害者の作業所に勤めている女性がいます。製品のカタログ自慢されましたが十分商品として通用する品質でした。
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